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2006/11/29 (Wed) 03:02

庶民の昭和史

作家さんの話を書いていて、思い出した人がいる。

実は私、本を読み出したのは遅い。
そこそこ読んではいたが、それは決して多い方ではなかった。
30代を目前にして、私は仕事上の必要で“しょうことなしに”
向田邦子女史の作品を読んだ。
入れ食いだった。

女史はシナリオライターからエッセイストになり、やがて小説の世界に踏み込んでいった人だ。
シナリオライターだけに、場面転換に妙がある。

場面、場面に仕掛けられた食材がラストで一気に一つの料理として完成する。あー、あれはこういうことだったのか!と。

そして、行間に昭和がこぼれた。
今は無き父権が専制した。
理屈抜きの暴君に育てられた多感でお転婆なお嬢さんが雑誌社に入ったことから運命が変わる。

森繁を女をたらす名人だと賞し、トットちゃんの留守電を肴にした。

決して豊かではない暮らしの中にある、平穏な人の情。
“字のないはがき”、“父の詫び状”には涙した。

よく年末・年始に“向田邦子スペシャル”と銘打った番組が組まれる。
何故かいつも“あうん”と何かの合体編である。

“字のないはがき”は是非ドラマ化してほしい。
お涙頂戴の戦争ものではなく、戦時を背景とした人間模様を
見応えのあるものとして作れるような気がするのである。
私は“火垂るの墓”は嫌いなのである。
あれは子どもに見せちゃいけない。
そんなものより、“チャップリンの独裁者”を見せて頂きたい。

向田作品に触れれば、私が何故“今はおかしい”と言い張るのかが
少しはおわかり頂けると思う。
単なるレトロ趣味ではない。
葬り去られようとしているものの復権を願うのである。
Trackback(-) comment*0 | 分けられぬこと
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