2007/06/21 (Thu) 04:05

冥利

手前味噌だが、雇われの身の時の話である。
私の担当だったクラスにその子がいた。

明るくて、ほのぼのとした子だ。
絶対に人を不愉快になんかしない子でもある。

彼の同級生の親がその塾はのんびりでダメだから塾転しようと誘った。
子ども達を体験だか、テストだかに連れ出した。
合格した。

私の休みの日に、1時間おきに退塾の電話がかかったらしい。

さて、件の彼。
帰宅し、塾に行こうとして親に止められた。
もうあそこにはいかなくていい。
明日から別の塾に通う、と告げられた。

私の大嫌いな上司は、鬼の首でも取ったように、
電話でこの“事件”を言って寄越した。
“おまえの指導に不満があるから辞めたんだよ”と、
裏で聞こえていた(笑) ま、言われても仕方ない。


数日後、件の彼の母親から電話があった。
あの日、家で暴れたという。
お母さんは何でもかんでも僕の気持ちなんか無視して勝手に決める。
でも、もう言うことは聞かない。
あの先生の塾を辞めるならもう受験もしない。
学校も転校して地元の小学校にかわる。
そういって、あちこち当たり散らして手が付けられなかったという。

彼は復帰した。
申し訳ないことに、志望校には合格できなかったが、
彼は、自分の素晴らしいところを一つたりとも壊さずに
小学校を終えたと、私は自負している。

人懐っこいあの笑顔に会いたくなった。
きっと優しい男になっているに違いない。
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